会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2016/05/12


 坂本工業では、セクシュアルハラスメント(以下、「セクハラ」という)に対する相談窓口を作っているが、パワーハラスメント(以下、「パワハラ」という)についても相談できるように検討を始めた。社労士に相談したところ、マタニティハラスメント(以下、「マタハラ」という)についても対象に追加した方がよいという提案を受け、その運用のポイントについて話を聞くこととなった。

 当社では以前からセクハラの相談窓口を設けて、何かあれば気軽に相談するように従業員に周知しています。この相談窓口ですが、今後はパワハラも相談内容の対象として追加しようと考えています。

 相談窓口の設置はとても重要なことですね。国の方向性として企業内の問題は、まず企業内での解決を目指すよう促しています。会社にとっても自社の問題がいきなり外部に流出して大問題になる前に、自社内で問題を把握し、解決を図りたいものです。パワハラも相談できるというのはとてもよい取組みですね。

 これまでは、木戸部長が担当として従業員の相談を一手に引き受けていましたが、今後はより相談しやすい環境をつくるという意味から、組織的に対応していきたいと思っています。

 そうですね。今回はパワハラを対象に追加するということでしたが、今後の流れからすると、マタハラについても範囲を広げて考えておくとよいかと思います。というのも、今国会で育児・介護休業法と男女雇用機会均等法の改正が行われ、現状の妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い(マタハラ)の禁止に加え、その防止措置が義務化されることになりました。

 不利益取扱いの禁止ということは、育児休業等を取ったことで降格したり、給与を減額したりすることですよね。防止措置の義務化というのはどういうことでしょうか?

 はい。上司や同僚等が職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由として就業環境を害することがないように、つまり、働きにくくなるようなことがないように、周知・啓発、相談体制の整備等を行うことが求められる予定です。ただし、詳細は今後、決定されることになっており、具体的には厚生労働省から指針の公開が予定されています。防止措置の義務化は平成29年1月に施行されますので、指針の整備もそれまでに行われるでしょう。

 なるほど、そうなるといまからマタハラについても相談対象に加えるように検討をしておいた方がよいですね。

 そう思います。さらには相談窓口の体制についても確認する機会にしたいところです。相談窓口を設置する際には、形式的に設けるだけではなく、問題が発生したときに運用される窓口でなければなりません。担当者の氏名を明らかにし、従業員に周知をすることになりますが、相談したことで不利益となることのないように、また、守秘義務がしっかり守られるということも伝えておく必要があります。

 なるほど。問題が発生しているのであれば、遠慮なく利用してもらうように周知していくことも重要ですね。相談窓口の担当者ですが、先ほどもお話したとおり、これまでは私一人が担当していましたが、複数名を置いた方がよいのでしょうか?

 特に複数名の配置をしなければならないとはされていません。ただし、セクハラの相談が寄せられることを想定するのであれば、少なくとも男女1名ずつの設置が好ましいと私は考えています。セクハラですと同性の方が相談しやすいということもあるでしょうから。

 なるほど。それでは従業員が相談しやすく、そして、相談を受けたときに適切な対応を取れるような人員の配置を検討しよう。

 そうですね。ハラスメントの相談を受けた際には、事実関係の確認や当面の対応を迅速かつ正確に進めなければなりません。適切な人材を選ぶとともに、相談を受けた場合の対応をマニュアルとして落とし込み、教育をしていく必要もあります。

 今年の新卒を配置するという訳にはいきませんね。人数のみではなく、適切な対応ができるような者を担当者として選任することにします。

 ところで、私が行うべきことはありますか?

 社長には、是非ともハラスメントが問題行為であるということ、そして、会社として撲滅していく(発生させない)ということを宣言していただきたいと思います。トップから号令をかけて対策を打っていくことが従業員のハラスメントに対する意識を高めることになります。

 承知しました。私自身、知らず知らずのうちにハラスメント行為をしている可能性もあります。これを機に振り返り、そして、従業員全体にも広めていきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。


>>次回に続く



 平成28年4月より労働局の組織の見直しが行われ、これまでの「雇用均等室」が「雇用環境・均等部(室)」として設置されました。この見直しの目的には、雇用均等室が進めていた女性の活躍推進と、労働基準部が進めていた働き方改革の取組を一体化して効果的に行うことがあります。また、パワハラ・解雇に関する相談窓口と、マタハラやセクハラ等に関する相談窓口を一つにして、労働相談の利便性がアップされることも想定されています。これまで以上に女性の活躍、ワークライフバランスの推進、そしてハラスメント対策に関して取組みが強化されていきますので、企業においても十分な対応を進めるようにしましょう。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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